メルカリ上場が仮想通貨に与える影響は当分先だがキラーアプリになる可能性がある。
先日のメルカリの上場劇はドラマチックな展開を迎えました。上場価格で5,000円を付け、一時ストップ高に。今後も、アメリカ進出などシェアリングエコノミーの世界を広げる可能性のあるメルカリには、期待が大きいところです。
また、従業員へのストックオプションの配布など、福利厚生でも、群を抜いて社員への好優遇を促進する企業です。メルカリの打ち出す施策が、働き方改革の面からも新しい指針にもなる期待もあります。
メルカリ経済圏を確立
さて、メルカリは、フリマアプリとして成功しましたが、この度の上場で獲得した資金は、「メルカリ経済圏」というものを創出する目的で利用されます。
今までのメルカリは、シェアリングエコノミーの成功例として、アプリ上で、不用品の売り買いを成約させるプラットフォームという存在に止まっていましたが、今後ユーザーのデータを活用することで、不用品=休眠資産という新しいレンディングの仕組みが活用されていきます。
そうすると、ユーザーひとりひとりの与信情報の管理が行えるようになってきます。
ユーザーのスコアリング
すでにメルカリは、質屋的な商売でしたが、消費者金融よりも更に小規模な金融業へと舵を切っていくと思います。キャッシュなどのアプリがリリースされていますが、今までは、少額の消費者金融というカテゴリーはビジネスとして成立してきませんでしたが、スマホを使ったC2Cアプリを利用すれば、新しい市場として見えてきます。そして、そこに画像認識のAIや人口知能を活用することで、業務の効率化を図るソリューションも構築されていきます。
まさに、ビッグデータ時代、単なるデータを資産に変えてしまう可能性があるのがメルカリということになります。
アリババのように、ユーザーの信用情報を集約したサービスになる可能性もあります。
そして、満を辞してリリースされるのが、「メルペイ」というサービスです。これが、メルカリの金融業としての核になっていく部分になります。
メルペイとは、決済の部分を担う、メルカリ経済圏のパスのようなものです。カードやQRコードのような形で、フリマサイトで売り上げたお金を、コンビニなどの店舗で利用できるようになります。
また、今後、展開していく予定の自転車のシェアリングサービスとも連携を図っていくことでしょう。
そして、メルカリで販売できるのは、モノだけでなく、個人のスキルも売り買いできるようになってきます。ランサーズのようなフリーランスの業務を受託するように、コンサルや、デザイン、ウェブ開発などのスキルが売り買いされるようになります。
シェアリングサービスの経済圏が、メルペイというキーで繋がっていくイメージです。
シェアリングを繋げる
仮想通貨の取引所や、ビットコインをメルカリやメルペイに組み込むサービスも展開されていきそうですが、これは、政府の許認可が必要な部分となるので、規制が強まっている現在では、優先事項が後になってきた印象を持ちます。将来的には、ビットコインをメルカリの運営する仮想通貨取引所で売り買いしたり、メルペイにデポジットして、店舗で仮想通貨支払いが出来たりといったことを期待しますが、法律の壁を乗り越えなくてはならないため、時間はかかると思います。
規制の問題
また、現在のフリマアプリでもそうですが、フリマで売り上げたお金の管理を法律でどう管理するかが懸念事項になってきます。基本的に、金融当局などの認可が必要な事業になります。顧客保護のために、資産の分別管理や、銀行や証券会社並みのセキュリティ管理を義務付けられることだと思います。
売上金のデポジットを次の買い物に利用するといったことが、前例のないサービスとなるので、法的な整備もまだ議論されていくことと思います。
これと比較して、店舗のポイントカードが売上として認知されていませんが、それに近い扱いになれば、比較的スムーズに整備されます。しかし、個人でも、売上が大きくなれば、当然税務申告が必要になり、国税局も税の補足をどうするのかという点が気になっていると思います。
個人でフリマサイトを使って売上をあげても、個人事情主でない限り、複雑な確定申告や税金の計算が難しく、悪意がなくとも、申告漏れになるケースもでてくると問題が浮上してしまいます。
理想的には、Freeeなどの税務ソフトと連携できるような仕組みであったり、自動計算の仕組みを講じて何かしら対策をとっていかなければ、使いにくいサービスとなってしまい失望されてしまいます。
せっかく革新的なサービスが生まれようとしているのに、規制という冷水でイノベーションの芽を摘んでしまう結果にだけはなってほしくないと思います。
また、上場と同時に米国のシェアリングサービスを加速させていく予定ですが、こちらは、かなりハードルが高いと思います。米国では、決済サービスはペイパル、新興ではスクエアやストライプがリアル、ネット店舗決済でしのぎを削っており、立ち入る隙は見当たりません。また、シェアリングサービスも、Etsyなどの既に飽和が見え始めている市場の牙城を崩しことは至難の技です。
海外展開は、大きく事業を加速させる可能性がありますが、ハードルはかなり高いでしょう。
一方、日本独自のシェアリングサービスだけで終わってしまうとスケールできず、ガラパゴスな進化で止まってしまいます。
海外展開は必須ですが、これから課題を解決していきながら、施策を走りながら考えていくしかなさそうです。
まとめ
- メルペイを起点とた決済サービスの提供
- シェアリングサービスを横断的に結びつける
- メルカリ経済圏の確立
- 税申告をどうするのか
- 優遇処置があるのか
- 米国での成功はあるのか