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ICOの本当のメリットは分散型働き方改革にあり

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プロジェクト単位でのICO

ICOによる資金調達の9割以上が詐欺、または失敗におわるプロジェクトだと言われています。

しかし、1割の正当にICOで資金調達したプロジェクトがあるのは事実です。

全てのICOを否定することはできない中、ICOについてどう評価すべきなのか?について本日は考えていきたいと思います。

 

もし、今後、規制が正しく行われて詐欺ICOが撲滅したなら、会社全体の株式とは別に、プロジェクト単位で発行するICOという住み分けが可能かもしれないと思います。

または、企業体がなく、小さなプロジェクトをスタートさせるための資金調達として有意義に使われる可能性もあります。

これは、クラウドファンディングと似た仕組みとして、小規模事業主や、副業を支援するプラットフォームになるかもしれません。

 

この場合の企業のメリット、プロジェクトのメリットは、リスクを切り分けることができる点です。

責任の範疇がプロジェクト単位なので、成果も含めて、本業の業績には影響が少なくなります。

一方で、出資した側は、リスクの高いプロジェクトに参加するため、ハイリスクハイリターンの投資となります。

しかし、クラウドファンディングのような、もともと企業を応援したいというニーズにも答えていけるため、株式投資とは違ったユーザーが見返りなく参加できる点も特徴的です。

ICOの創り出す新しい投資の市場とは、参加者は応援とういスタンスで投資できること、企業はリスクを最小限にできることです。この点がマッチングすることで、理想的な資金調達の手段として、ICOの仕組みが期待できるのではないでしょうか。

ICOの懸念点

しかし、現在の整備されていないICOには数々の問題が山積みです。

まず、本業の事業と切り分けて機能しなければ、企業にとってICOはリスクも責任もない都合の良い資金調達となってしまう恐れがあります。

株式と違って、議決権も配当もなく、審査監査も今の所定まっていないので、投資家保護もありません。

資金調達側は無条件で資金調達出来るメリットがありますが、ICO参加者はハイリスクのわりにはメリットが少ないと言えます。

現状、ICO参加者は、好きなプロジェクトに期待して応援すること、トークンの値上がり益が期待される以外にICO参加者の利益はないのではないでしょうか。

 

企業が発行するICOトークンの悪用例として、ホワイトペーパー発表の事業と違う方向に事業がピボットすることがあります。

資金調達と投資家保護がない今のICOによって、ホワイトペーパーは法的拘束力がなく、資金の使用用途については、投資家が言及することができません。

また、ICOプロジェクトが失敗におわった場合、その経験値やリソースを違うビジネスに応用したとしても、その後、ICO参加者は利益を得ることができません。

企業の利益として計上されてしまえば、株主に利益が還元されることとなり、ICO参加者は資金の提供だけしたことになってしまいます。

この場合、企業に出資している株主のメリットの方がはるかに高いと言えるでしょう。

具体的な悪用例としては、ベンチャー投資で、資金が焦げ付いたファンドが、資金を回収する目的で、人気で資金調達し易いICOを実施して、持ち株分を売り抜けるという手法も存在するので、流行りに乗っただけのICOには個人投資家は十分注意するべきです。

 

また、ICOトークン自体をプロジェクトの運転資金として使わなかったり、どの程度の割合で使ったのかが不明確なケースもあります。

ただ単に、ICOトークンを市場で売り、それが、企業の売上として計上されるだけのケースもあります。

企業の事業と、ICOトークンの事業が同じ場合、株式とICOトークンの資金使用用途の判別はあいまいになることが多いと言えます。

この場合も、株式を保有する株主は企業の議決権、配当の権利はあるが、ICO参加者の利益はトークンの値上がり期待だけです。

ICOの可能性

しかし、株式会社にないICOの可能性は、プロジェクト単位で資金調達出来ることです。

今は、株式発行での資金調達が主流ですが、これを補完するような、または上回るような資金調達のあり方がICOには期待できます。

ICOには、東インド会社時代からつづいた、共同出資という形である株式の仕組みを変革してしまう可能性があります。

これは、株式会社という会社組織のあり方が、永続的に利益を出し続けることが、難しくなってきていること、限界になってきていることが証明されてきている理由があるのかもしれません。今や、30年と続く企業体は珍しい存在です。

それと対照的な動きが、どんどんプロジェクト単位で、仲間を集め、課題解決すれば解散というような仕事のあり方です。

永続的に事業収益を上げ続けるビジネスモデルではなく、プロジェクト単位で収益を上げ、働き方も、多様で様々な人が、様々な事業に関わりあうという分散型の働き方がICOの出現により可能になってくるのです。

これは、ビットコインの分散型台帳が可能にしたお金の管理のあり方にとどまらず、働き方も、分散型になっていくという大きなトレンドを感じます。

社会は大きく変化していますが、通貨がデジタルやブロックチェーンに置き換わるだけでなく、すべてが、分散型に向かっているということを大局観として理解していくと面白いと感じています。