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価格安定型の仮想通貨ステーブルコインとは!?3タイプ徹底解説!

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仮想通貨が通貨として使われるために

ビットコインをはじめとした仮想通貨ですが、その名前の通り、「通貨」としては、ほとんど使われていません。

現状の仮想通貨のユースケースは投機市場となってしまっていて、本来の通貨として本格普及するためには、お店などで支払い手段として使われなければなりません。

そこで、ビットコインの通貨としての課題と、その代替えとなりえるステーブルコインについて解説していきたいと思います。

まず、ビットコインの問題として下記の点があげられます。

  • 価格が安定していない
  • 決済スピードが遅い
  • 送金手数料が必要
  • プライバシーが保護されていない

しかし、ステーブルコインは、ビットコインのようなボラティリティの高い仮想通貨とは違い、価格変動がなく、実用的で役立つ仮想通貨になる可能性を持っています。

そして、ステーブルコインの種類は、大きく分けて、法定通貨担保型、仮想通貨担保型、無担保型が存在します。

それらを順に解説していきます。

法定通貨担保型 

テザー

この分野で最もポピュラーなのが、テザーです。発行された全てのテザートークンであるUSDTに対し、同額の米ドルが保管機関に預けられていることが、価値の担保になっています。

(1USDT=1米ドルとして換算)しかし、その価値の担保が保証されているという信用性については、現在議論されているところです。

懸念されているのは度々、資金テザートークンが発行される都度、ビットコインの価格が大きく上昇しています。

一説には、ドル建ての担保がなく発行されているのではないかという疑いや、ビットコインの相場上昇はこのテザートークンによって作り出されているのではないかという疑いを持たれています。

そして、多くの人は、本当にドル建てでテザーが正式な手順で発行しているのかどうかを疑っている状況です。

 

デジックス

また、テザー同様の仕組みを持つステーブルコインが、デジックスです。テザーと違う点は、デジックストークンが担保としているのはドルではなく、金(ゴールド)となっていることです。

デジックストークンンは、純度99.99%の金1グラムと同価値であることが、この仮想通貨の担保となるところです。

しかし、金の価値は日々変動しているため、価値が安定している仮想通貨であるとは言えません。

また、金本位制は現代の通貨のシステムでは採用されておらず、ドルなどの法定通貨もまた、金本位制から脱却した経緯を考えると、実用されるようになったとしても、通貨の供給量をコントロールできないことがネックになってくると思います。

 

ペトロ

番外編としては、国家によるICOを初めて実施したペトロがあります。プラットフォームはNEMを使って発行されています。ペトロは石油により価値が裏付けされたトークンとなっています。(1ペトロはベネズエラ産の原油1バレル当たりに該当)そして、ペトロの価値は、ベネズエラ政府によって発行管理されています。

しかし、ペトロトークンが、本当に、ベネズエラの現物の石油を担保に発行されているかは第三者によって確証されていないため、保証はあくまでペネズエラ政府に依存します。そして、財政難の苦肉の策として詐欺的なスキームで発行されたのではないかという疑いも持たれています。

ただし、石油の取引はドルを使って行われることが多いため、ドルを使わない石油の取引は画期的だと言われています。この点においては、米国政府も非常に懸念しているところであり、ドルの価値を損なう恐れがあるため、トランプ政権もペトロには、攻撃的なコメントを残しています。

結論

何か特定のものを担保にした仮想通貨、担保型ステーブルコインは、まだまだ多くの問題を抱えています。

それは、仮に多くの流通量が必要になった時、担保として大量の資金を用意しなければならなくなる点です。実際の通貨を置き換えるにはとても、そのような莫大な資産など用意できるはずがありません。

また、そもそも、担保となっている資産は、厳重な保管環境が必要なため、信用とコストが常に発生することになります。この中央集権的な仕組みに依存することは、発行体のない非中央集権的な思想を持った仮想通貨には相反するところとなり、理念としても則さないのではないかと思います。よって普及して実利用されるケースは考えにくいと思います。

 仮想通貨担保型

ビットシェアーズ

仮想通貨担保型ステーブルコインの仕組みは、他の仮想通貨の預金により裏付けされていることです。

ビットシェアーズでは、ビットシェアーズトークンを担保として、独自トークン上のUSDCNYGoldを発行しています。

それら発行された新規トークンは、ビットシェアーズの価値に裏付けられていることになります。

これは法定通貨担保型トークンを中央集権的な欠陥を補うための、完全に非中央集権化された仕組みで考案されたものですが、性質上、仮想通貨が、法定通貨以上の信用度を持たなければ成立しないため、非常にハードルが高いチャレンジであると言えます。

ダイ

また、仮想通貨担保型ステーブルコインには、メーカーDAO上で発行されるダイがあります。

ダイは米ドルベースのように見えますが、実際に担保として計上しているのは、イーサリアムが使われています。イーサリアムも他の仮想通貨同様価値が日々変動していますが、この価値の変動を抑えるため、実際の価値よりも値上がりした場合は、イーサリアムを市場で売却してデポジットしておき、反対に、イーサリアムの価格が下がった時は、購入してストックしておきます。

それをイーサリアムのスマートコントラクト上で実行することで、完全に自律分散された組織の上で、価値を担保することができる仕組みです。

結論

しかし、この仮想通貨担保型ステーブルコインの欠点は、その価値を裏付けしているのが、不安定な価値を持つ仮想通貨であることです。

そのため、仮想通貨担保型ステーブルコインは担保となる仮想通貨を必要以上に用意する必要があります。

例えば、1ドルのステーブルコイン1つを発行する際、担保とするコインをその倍の量である、2ドル分を用意するといった具合にです。

これは、担保となる仮想通貨に、価格下落の際吸収できるだけの余地を残すために必要な処置ですが、担保負担が増大してしまう仕組み上の欠点があります。

また、最悪の場合、担保となっている仮想通貨の価値がゼロになってしまうとステーブルコインの価値も同時にゼロになってしまうことを意味します。

仮想通貨担保型ステーブルコインは、法定通貨担保型のステーブルコインと比べて、非中央集権化されていますが、まだまだ、安定的して日常的に使用できるレベルには到達していません。

 無担保型

ベーシス

消費者物価指数に対してペッグするステーブルコイン

サーガ

国際通貨基金特別引出金にペッグするステーブルコイン

 

無担保型ステーブルコインは、担保として裏付けされた資産を持っていません。これは、他のステーブルコインと比べて、法定通貨の仕組みをできるだけ忠実に再現していると言えます。

日銀や、FRBのように新規発行を特定の条件のもと、スマートコントラクト上で実行可能とすることで、政策的なことも、非中央集権型で仕組み化できます。

供給量のコントロールがスマートコントラクト上のプログラムで実行できることが画期的です。

結論

しかしながらこれも完璧ではありません。安定的に価値を担保しつづけるには、常に利用される必要があります。

その点においては、法定通貨を凌ぐほどの需給バランスを維持できるのかどうか疑問が残るところです。例え一時的に出会っても、市場暴落や、需給のバランスが崩れた時は、ステーウルコインの存在意義が問われることになります。そういった意味では、決して安定した価値を持っている仮想通貨になっているとは到底言えません。

まとめ

ステーブルコインの価格安定性は仮想通貨が社会に、受け入れられ、一般的に日常利用されるためには必須の存在であると思います。

しかしこれを達成するためには、円やドルの流動性以上の世界規模の信用を持ったステーブルコインになる必要があるという大きすぎる課題があります。

現状、法定通貨の価格安定性に勝る仮想通貨は存在しません。

また、ビットコインでは、プライバシーの問題も問いただされています。

ステーブルコインは、期待とは裏腹に、数々の乗り越えるべき課題があるのです。

逆に、法定通貨がデフォルト危機に陥り、自らその信用を落としてしまうことが起こらない限り、ステーブルコインの実利用は難しいかもしれません。

しかし、ビットコインが社会に注目されだしたきっかけとなった事件がキプロスでの国家破綻懸念だったことを思い出すと、今後、大規模な先進国国家での世界レベルでのデフォルト懸念が、ステーブルコインの普及のきっかけになるかもしれません。

また、他のシナリオとしては、国家独自が法定通貨に裏付けされたステーブルコインを発行する可能性もあります。

ちょうど、日本では、MUFGコインや、Jコインといったものが開発され実験段階に入っています。

MUFGコインは、ビットコインに比べても、処理能力が10倍の超高速決済システムを備え、実用レベルに非常に近い存在だと言えます。実際の通貨としてのステーブルコインは、ブロックチェーンシステムや担保の価値うんぬんではなく、実利用に耐えうる処理速度は欠かすことができません。そして、ブランドとなる信用が最も高いのが国家という存在です。

仮想通貨は、法定通貨と相反する思想を持っていますが、最終的には、国家の信用が必要となってくるとすれば皮肉なことです。

やはり、通貨としての仮想通貨ステーブルコインはその全てが、ブロックチェーン上で行われる必要はなく、どこかで、折り合いをつけていくことで、法定通貨との橋渡しができる共存関係を作り上げることが、必要となってくる時期がやってくるのかもしれません。

それまで、もうしばらくステーブルコインの発展を見守っていきたいと思います。