イーサリアムとリップルは証券に該当?各国の仮想通貨規制まとめと考察
各国の規制の方向性を考察してみた
仮想通貨の規制については、度々議論される所ですが、G20では、世界経済に影響を与える規模とは言えず様子見とされました。
しかし、マネックスグループや、ゴールドマンサックスを始め、金融業界やIT企業はこぞって仮想通貨の取引所ビジネスに参入しようとしています。
そのような動きからも、長期的には、仮想通貨は、新しい資産クラスとして徐々に認知されて行く可能性があるものと考えられます。
そして、規制については、世界中で取引できてしまう仮想通貨を足並みを揃えてという訳には行かず、これからも難航して行くことと考えられます。
それぞれの国の立場や、意図があり、利害関係が発生してしまう状況では、一気に規制の問題を解決することは、難しいでしょう。
先日も、バイナンスが、日本へ営業行為をしたと見なされトラブルがありました。日本国内に海外の取引所の拠点を設けることは、ハードルが高く、結果、マルタに移転することで、規制の網を潜ろうとしています。
そこで、各国の規制の方向性について、まとめて見ました。
米国、日本
米証券取引委員会(SEC)は、ビットコインはコモディティであり、証券ではないという認識を始めています。一方、イーサリアム、リップルは、証券である可能性が高いと考え始めています。
論点となるのは、将来的な価値の値上がりを期待した出資に当たるのかどうかという点です。
証券でないと主張する側は、ユーティリティートークンである、すなわち、サービスに使うためのコインに過ぎないので、証券ではないという主張を法的に確証すべく対立しているのですが、投資家は、現在使える訳ではないトークンを保有して、値上がりによって売却益を得ていると言った状況は、証券としての性質を帯びるというものです。
米国での証券としての範囲は、非常に広く、投資家は、事業の将来性を期待して、そのサービスが成功したときに、見返りを得るという行為自体が、既に証券と見なされる考え方になります。
また、イーサリアムで新規発行されるトークンは、ICOという資金調達をしているケースが多く、このICO自体が出資に当たる範囲に該当するという考え方も指摘されています。
リップルについては、トークン自体がサービスに利用されていない状況で、ユーティリティートークンとしての主張は難しいだろうと思います。
あくまで、投資家の目的は、リップル社の事業が、成長することによるトークンの値上がり益を期待するものであり、その行為自体が、証券としての特性そのものになります。
この様な状況で、機関投資家がまず参入するのは、ビットコインに集中するだろうとの観測もあります。
また、ICOを実施していないライトコインや、ビットコインキャッシュにも脚光が浴びせられるかもしれません。
匿名通貨については、政府の認可という観点からは、相変らず難色を示されるリスクは大きいです。日本では、禁止の方向で調整されています。
ただし、証券としての厳しい認可が下りた場合、その通貨には、ファンド及び、米国居住の投資家の資金が流れてくるものと考えられます。
その基準を満たすプロジェクトは、限られたものになることから、一部の仮想通貨に大きな資金が流れ込むことになります。
ただ、多くの仮想通貨は、資金の管理がいい加減なものになっていることが想像でき、小さなプロジェクト単位から始まった仮想通貨は、おそらく基準を満たすことが出来ず、米国内の取引所から上場廃止となりそうです。
ドル建ての取引がなくなることで、大きく明暗が分かれる状況となるだろうと想定されます。
日本については、米国の規制の動きに連動してくると思われ、日本単独で、規制緩和が行われることは考えにくいと思います。
両国は、一言で言えば、安全運転をしようとしており、リスクを徹底的に排除して、投資家保護優先、言い換えるならば、投資家からのクレームを避けようとしていると思います。
最近は、明らかな詐偽案件も増えているので、長い目でみれば、環境を整えることは、正しい選択なのかもしれませんが、それが行き過ぎると、産業が他の国に移り、国益を損ねてしまうリスクがあります。
韓国、中国
韓国も中国も投機が盛んですが、いき過ぎた投機的な需要は社会問題となることから一定の規制が設けられようとしています。取引所の規制や、ICOの禁止や、詐欺プロジェクトの摘発などです。
しかし、国としては、海外からの資金を呼び込むためのチャンスと捉える動きも始まり、政府と伝統的企業とブロックチェーンベンチャーとが、共同で、進めるプロジェクトも始まっています。
彼らは、規制を緩和することで、各国よりも先導して成功例を作り出したい考えなのだと思います。この分野においては、世界的な投機を取り込むことで、プロジェクトの成功確率を上げることが出来ます。
ただし、スピードを求めると詐偽対策や投資家保護が後回しになってしまうリスクもあります。
それらを考慮しても、世界トップクラスのブロックチェーンプラットフォームを作り出すチャンスをものにしようと策略的に動いているものと思います。
イーサリアムなどのプロジェクトを国内の成功例として作り上げることが出来たならば、国の成長戦略として大きく貢献できるだろうと思います。
マルタ
タックスヘブンなどの税優遇で、将来の成長産業を自国に呼び込みたいという国は、これからも存在するだろうと思います。
この辺りが、世界規模での規制が難航する課題となるところだと思います。
結局、規制を避けて、有望なプロジェクトは、海外に拠点を移すということが、起こってしまうと、取り返しが付かない事態となってしまいます。
今後の各国のスタンスで、今後何が正解であったかが答え合わせされるでしょう。
ただし、いき過ぎた規制や、既得権益を守るための法律は、優秀なプロジェクトを失望させ、海外移転の決断を促進させてしまいます。
規制は必要ですが、なるべく早く整備され、有望な事業を育てることができる、適正な水準で行われるべきです。
国の規制が、将来の国益と直結するということを考え、日本は正しい選択をしてくれることに期待したいと思います。
まとめ
- 規制により詐欺案件から投資家を保護したい。(米、日)
- 規制緩和で投資と成功事業を国内で育てたい。(韓、中)
- 税優遇で自国の利益として取り込みたい。(マルタなど)
※内容は個人的見解が多く含まれており将来の利益を保証するものではありません。投資判断は自己責任で行って下さい。