自分次第で未来は幸福にも絶望にもなる『10年後の仕事図鑑 堀江 貴文 (著), 落合 陽一 (著)』
書評要約
AIに仕事を奪われても問題はないという考え方
私もその一人だが、AIの登場によって、失業してしまうと考える人は多いようである。
それは、ロボットに自分の仕事がそっくりそのままとってかわるというイメージを持つからだろう。
しかし、それは、自分の仕事が変化しなかった場合の話だ。
逆に考えれば、単純労働や、生産性の低い仕事をロボットに代わりにやってもらって、自分はワクワクする仕事、生産性の高い仕事にシフトしていくことも可能なはずだ。
考えてみるとAIの登場以前に、電卓やコンピューターの登場で、ソロバンや、事務作業の多くが効率化された。
いまでも、仕事が奪われるからと手計算でそろばんを弾く仕事をしている人はいないだろう。
そして、その人にとって仕事は無くなったわけではなく、新しいテクノロジーを手に入れることで、手間のかかる作業が減り、より効率的に仕事をこなすことが出来たはずである。
現在の深刻化する人手不足の問題を解決する手段としても、AIはネガティブなものではなく、必要な人間の手助けとして機能していくかもしれない。
自分に価値をつけるということ
副業という働き方が、選べる時代になってきた。個人が主導で好きなことを仕事にかえていく方法は増えつつある。
本書では、副業という考え方は、逃げとも捉えており、本業と副業の境目がないくらいに自分の仕事にのめり込むほどハマって欲しいと訴えられている。
組織ではたらくことから個人ではたらくことも意識しよう。そして、労働というマイナスイメージではなく、遊びというポジティブなイメージを持とう。
これは、労働と考えると仕事はイヤなことを我慢しながらお金をもらうものという考え方に繋がってしまう。
これが、一般的な仕事の捉え方になってしまう世の中は、寂しい。
一方、好きなことを仕事にして、本人は楽しんでいるつもりで、それが結果的に仕事になっているというパターンがある。
両者を比べると、前者は仕事に対して後ろ向きなのに対して、後者は、仕事に対して常にポジティブで新しいものを生み出すことに積極的だ。そして、良い仕事をするのは、仕事を好きで楽しんでいる人。
生産性が問われている時代に、仕事のパフォーマンスという指標で見たときも、明らかに、好きを仕事にしている人のパフォーマンスが良いのは当然だろう。
つまり、これからの時代は、自分の好きという感情が大切になってくる。言い換えるならば、モチベーションを高めて、自分の創造性をどこまで刺激していけるかの勝負でもあると言える。
10年後になくなる仕事
AIによって無くなると言われている仕事に、管理職、営業職、エンジニア、弁護士、会計士、税理士、アナウンサー、事務職、受付、医者、運送業のドライバー、銀行員、レジ打ちなど、かなり幅広い職種が失業若しくは、削減されていくと言われている。
単純労働は置き換えられやすいが、知的労働でも、高単価な労働は機械導入のコストと比較して削減メリットがあるので、よりイノベーションが進みやすい分野だと言われている。
しかし、一方で、AIによって、生まれる仕事や伸びる仕事も存在する。
個人経営のお店、ドローン、ショービジネス、予防医療、観光業、音声認識技術などだ。
これらの特徴は、AIを生かして、個人の能力を高めようとするところにある。感情的なことは、これからもロボットに代替えできないからだ。
また、新しいテクノロジーを上手く取り入れることで伸びる産業、創造される事業もある。
また、お金の価値観も大きく変わってくる。
現在の貨幣経済には大きな問題があって、世界の供給されるマネーの量はどんどん印刷発行されて増えていると言うことだ。
インフレをコントロールできてしまう仕組みは、政策面では有効なこともあるが、発行総量が増えると言うことは、価値の希薄化を意味する。
今後、どんどんお金の価値そのものは下がってくるものと考えられる。
信用を獲得しよう
また、世の中に余っているお金はたくさんあり、クラウドファンディングなどを活用すれば、自分のやりたいことをベースに、共感してくれる仲間から、資金調達することも可能になってきている。それらの背景も、実は金余りの状況があるからこそだ。
そして、お金を稼ぐことは、何も、企業に勤めることで稼ぐというだけではなくなってきている。
その人自身が魅力的で、実績があれば、個人に信用がつき、お金を集めて事業を始めることができる。
つまり、これからは、信用が価値になる時代だ。
今は、見ず知らずの人でも、SNSのフォロワーや、ブログの人気度などで、その人の信用が図られることも可能になってきている。
これらが、交換できる価値の担保として上手く機能する役割を果たしてくる可能性がある。
これからは、個人の価値を上げること、すなわち、好きを見つけて、行動することがとても大切になってくる。
遊ぶこと、働くこと、学ぶことのバランスがライフスタイルとして一体になってくるイメージだ。
そして、自分が好きなことを追求して行くことが、人に喜ばれること、社会に役立つことに繋げていければ、それは、もはや立派な仕事となる。
食べて行くための仕事という感覚でやっていることと得られる報酬は天と地の差が生まれてくることだろう。
さいごに
好きなことは常に自分から改善していきアップデートするので陳腐化しない。サラリーマンの弱点は、自ら考えることを辞めてしまう、思考停止が問題なのだ。
好きなことを見つけるには、とにかく、自分を信じて自分の頭で考える癖をつけること。行動を起こすモチベーションを保つことだ。
誰だって幸せな人生を歩みたいはずである。時代の変化は決して悪いことではなく、どのようにして味方につける心構えが大切である。
皆さんも、自分にあった働き方、生き方のヒントを本書から学び取ってほしいと思う。好きなことを見つければ、あとは行動と実践あるのみだ。