Spotify上場 音楽ストリーミングサービスこそブロックチェーンを活用するべきだ!
Spotifyのビジネスモデル
Spotify、Apple Music、GoogleplayMUSIC、Amazonprime MUSICなどのストリーミングサービスが人気を博している。
音楽ストリーミングサービスを使えば、1ヶ月1,000円程度の定額料金で、いつでも好きな時に好きな音楽を聴くことができる。
私も、このサービスを活用している一人だが、使ってみて実感しているのは、気軽に音楽を聴ける体験が想像以上に快適で感動的ですらあることだ。
CDを買う必要がなくなったこと、ダウンロード購入しなくて良くなったことで、音楽をお金を出して買うかどうか迷ったり、当たり外れがあるというストレスから解放された。
今や自由に音楽を楽しめていると感じている。
そして、いつでもどこでも好きな時に好きなだけ音楽を聴くことができる。
おかげで、新しい音楽とである機会も増えたし、音楽を聴く時間も増えた。(定額なので聞かなきゃソンという気持ちもある、、)
当初、音楽ストリーミングサービスというビジネスモデルがリリースされた時には、「再生回数」がアーティストの収益となるという構造のため、CD販売やダウンロード販売に比べて単価が落ち、アーティストの収入が落ちてしまうのではないかということが危惧されていた。
つまり、お客となるユーザーは安い価格で音楽を聴くことができるが、アーティストにとっては、収入が減るじゃないかという言い分が多数であった。
それまでも、違法ダウンロードや、youtubeで音楽を聴けてしまう問題があったので、アーティストの収入はCD販売全盛期に比べて大きく落ち込んでいた。
フリーミアムモデルの成功
しかし、蓋を開けてみると、ストリーミングサービスはアーティストにとっても収益増加をもたらした。
単価の下落以上に、ユーザーが音楽と接する時間が増加したことで、収益機会自体が増加したのだ。
そして、広告付きの無料モデルと、定額制という課金構造も幅広いユーザーを取り込むことに成功した。フリーミアムモデルは時代にマッチした販売方法だと言えるだろう。
私は、このフリーミアムモデルは非常によく出来ていると思っていて、音楽業界以外にも展開が加速していくものと思っている。
それは、実は定額モデルは「お得感」はあるものの、ユーザーにとっては年間を通して、単品で購入するよりも多くお金を使っているという結果になるからだ。(今の時代、音音楽に平均12,000円年間支出する人は少ないはず。)
そして、定額で聴き放題だが、ユーザーの余暇時間には限界があることもポイントだ。(1日は24時間しかない)
定額制は、合理的な囲い込み戦略だ。そして一度加入すると離脱率は低い。(自動引き落としは金銭的な支払いのストレスを感じにくい)
私は、音楽のストリーミングサービスは今後もメジャーなサービスになり得ると思っている。
中央集権型の問題
しかし、そんな素晴らしいサービスに一つ重大な問題がある。それはアーティストの著作権が侵害されているということ。(ここからが本題!)
現在もアーティストは、自分が作った曲の著作権を正確に持っていないことが問題だと思う。
それはストリーミングサービスでも同じで、サーバーに保存したデータの著作権、再生回数権限がいったい誰のものなのか、保存されていることはない。
しかし、ブロックチェーンを使えば、アーティスト自身が曲に著作権を組み込む仕組みをつくりることができる。
曲を買ったら、その音楽に関する権利を誰が所有しているのかといった情報がすべてブロックチェーンに記録されて、音楽データのなかに含まれることになる。
例えば、誰かに音楽ファイルを送ったら、その曲が誰によって所有されていて、誰によってつくられて、誰によって演奏されたのか、といった情報も曲と一緒に送られることになる。
MP3ファイルとブロックチェーンの融合がアーティストの著作権を証明することになる。
アーティストの権利を取り戻す
これが実現すれば、アーティストが作成した曲を他の者が違法にコピーしたり複製したりして何億円もの利益を得ようとする行為からもアーティストの利益を守ることができるのだ。
さらに、スマートコントラクトを実装すれば、メディアなどで利用した履歴に応じてアーティストのウォレットに都度、入金される仕組みも実現可能だ。
権利関係は、複雑で契約書や、合法的に利用規約を守っているかを厳しく管理するコストがバカにならない。
それが、自動的にプログラム上で実行可能になれば、早く、確実に、マージンが無く、アーティストへの利益となる。
Spotifyが発表したブロックチェーンスタートアップMediachainの買収からも、そのような未来を想像することができる。
そもそも音楽ストリーミングのサービスはプラットフォームを提供することだ。それが、会社の利益を追求するために、アーティストの利益をないがしろにしてしまっては長期的な成長はないだろう。アーティストの利益を適切に守り、育てていくことこそ、プラットフォーマーとしての合理的な道筋だ。
そして、今後、Spotifyがアーティストの利益に重きをおいた戦略でいくのか、あた新たな、アーティストのためのプラットフォームが出現するのかわからない。最終的には、ユーザーにとってメリットを享受できるプラットフォームが勝ち残るのだろうが、利益の源泉がどのように担保されていくのかという実験が始まっていると感じる。
ブロックチェーンのカッコ良いユースケースに
何れにしてもいままで、ないがしろにされていたアーティストの権限がブロックチェーンという新たな技術を用いてアーティスト自身に帰属されることは明らかだ。
インターネットがダウンロード販売という合理的な音楽販売サービスを生み出したが、それは違法ダウンロードという副作用も生み出してしまった。
その後、違法ダウンロードへの処方箋はストリーミングサービスを生み出し、再生回数という新たな収益構造の仕組みを確立させた。
そして、次の時代は、ブロックチェーンによるアーティストの著作権を取り戻す。
ブロックチェーンが中央集権を持たない分散型台帳システムとして音楽をより自由にするために使われるということは、破壊的であり、ロックであり、カッコ良い。
私は、音楽がブロックチェーンの威力を一気に浸透させる最高のユースケースとなることを望んでいる。