マイベアノミクス

ミレニアル世代のビットコイン資産運用ブログ

アフリカのキャッシュレス社会M-PESA(エムペサ)から考える世界通貨としてのビットコインの可能性

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日本はキャッシュレス社会を目指していますが、実は、途上国の方が既に、キャッシュレス社会を実現しているのをご存知でしょうか。

そして、キャッシュレス社会とはどういうものなのかについて考えていきたいと思います。

途上国のキャッシュレス

まず始めにご紹介するのは、M-PESA(エムペサ)というケニアのモバイル送金サービスです。

日本で言うところのLINE Payのようなサービスですね。

 

M-PESAはケニアでは、生活に欠かせないインフラサービスとして定着しています。公共料金の支払いや、店頭で現金を引き出したり、国際送金にまで使われています。

では、なぜそれ程までにM-PESAが普及しているのかと言うと、これには、いくつかの偶然が関係しています。

銀行口座を持たない人たち

まず、M-PESAの送金サービスとは携帯会社が提供するサービスのひとつです。

ケニアでは日本のように全ての人が銀行口座を持っておらす、クレジットカードも保有していません。

そのため、携帯電を購入して利用するには、プリペイドカードを購入して携帯会社の電子マネーをデポジットして利用する必要がありました。

その電子マネーを送金としてメールに乗せて個人間で送金できるようにしたサービスがM-PESAです。

始まりは、携帯電話の料金を支払うための電子マネーでしたが、この個人間で送金できるサービスが便利だったことで、一気に普及して送金サービスを拡大していきます。

残高記録の仕組みは、携帯電話のSIMカードに直接アカウント情報として記録しています。それが、なんとガラケーの時代から利用されていました。

モバイルの普及環境

そして、マサイ族の生活をイメージすれば分かりますが、国土が広く、家同士が離れていること、外で連絡を取る手段が携帯電話が便利だったことで、モバイル化が進んでいたことで、基盤となる携帯電話の保有率が高かったことも、サービスを広げる環境に適していました。

出稼ぎの国際送金

また、若者世代が、農村部から都市部に出稼ぎに行くという生活スタイルのため、家族が田舎への家族への送金にM-PESAを利用しました。銀行口座を持たない人たちにとって、国際送金の方法は、「携帯電話のプリペイドカード番号」をお金の代わりに送金して現地で換金するという方法がとられていました。

そのため、国際送金の手段としてもとても相性が良かったといえます。

不安定な社会システム

また、アフリカなどでも情勢の不安定な国で、銀行口座を持たない人たちは、離れた家族に送金する手段が、タクシーや輸送業者の人に手数料を支払って個人的に現金を届けるといった方法がとられていました。

この方法は、手数料が50%を超えることもあり、輸送の途中で現金が紛失することや、強盗に会うこと、故意に盗まれることが多く運が良ければ届くといった

リスクの大きい送金手段でした。

このような環境の人たちにとっても、電子マネーによる送金は非常に便利で、当然のように好まれる送金手段だったと思われます。

問題解決のためのキャッシュレス

このように、途上国では、キャッシュレス社会を目指そうとして実現したのではなくて、もともとある問題や不便な状態を解決するために、必要だったから普及したということが言えると思います。

そして、いくつかの偶然の要素と組み合わさり、人々の生活に根付いてインフラとして機能するまでに至りました。

つまり、問題が先にあって、解決する手段として新しい技術を生かそうとした順当な進化です。

これが逆では、ファッション的になってしまい、一部の人にしか受け入れられないサービスになってしまうでしょう。

共通のアプリケーションである必要

ここで、改めて考えてみると、M-PESAが成功した要因は、圧倒的なオンリーワンであったことが大きな要因だったと思います。

初めから、送金サービスに大きな市場価値があったと目論んで始めたサービスではなかったことから競合他社が不在な上、携帯電話会社という大きなインフラ基盤を持っていたことが、そのネットワーク効果を最大限活かせる環境にあったといえます。

 

重要なのは、ライバルがいないことで、みんなが共通して使えるビジネスモデルになる点です。

日本のように、決済サービスが乱立している状況は、利用者にとっても相互サービスが利用できないので不便で負担障壁が大きいと思います。

この分野では、中国のアリペイ、ウィーチャットペイを例にしても国ごとの圧倒的なプレイヤーがいないと普及しないのかもしれません。

 

しかし、M-PESAなどの送金サービスでも完璧ではありません。それは、企業が運営していることで当然、手数料などで利益を上げる必要があります。その手数料は送金の10%が必要になることもあり、利用者にとっては大きな負担になります。また、企業の倒産があった場合、その電子マネーの価値はゼロとなります。

確かに、便利なサービスですが、中央機関が介在すると利用者にとっては、完璧なサービスとはなりません。

仮想通貨、ビットコインの可能性

そこで、将来は、徐々にビットコインなどの仮想通貨に注目が集まっていくと思います。

まだまだ、仮想通貨の価値は変動が激しいため、価値が信用するに値するとは言いがたい状況ですが、情勢の不安定な国によっては自国の通貨よりも信用されています。

まずは、途上国を中心に、電子マネーの欠点である企業が発行することによる倒産や不正を回避するメリット、手数料のメリットが注目されていくのではないかと考えています。途上国の人たちが、スマートフォンに仮想通貨ウォレットをダウンロードして日常使いする日も意外と近いのではないかと感じています。

 

また、送金サービスは、「みんなが共通して使う」というインターフェイスが普及には絶対条件です。

これが、ビットコインなどの仮想通貨では、世界で共通して認知されている状況に近づきつつあります。そのような共通認識が通貨としての地位を築きあげる可能性があると個人的には思っています。本格的に世界的に注目されるきっかけは世界的な金融危機が起こることかもしれません。

 

まずは、各国のキャッシュレス社会を国や企業主導で実現していくのが先決ですが、その先にある仮想通貨による世界共通の通貨としての可能性を考えると、その成長の伸び代はまだまだこれからはじまったばかりだと感じます。