Webブラウザの「Opera」が仮想通貨ウォレットをサポート開始
概要
Webブラウザはグーグルのクローム、アップルのサファリが有名だが、Operaも約4%のシェアを持つ人気のブラウザのひとつだ。
この度、Webブラウザに仮想通貨ウォレット機能をサポートすることで、他社との差別化を図り、仮想通貨の領域をリードしていこうとしている。
新たなブラウザは現在ベータ版が公開されているが、現在は一時的に利用できない。近日中に提供が開始される見込み。
サポートはイーサリアムのERC20に対応する。イーサリアムだけでなく、クリプトキティなどの人気のアイテムやアルトコインの保有や受送信が可能になる。
ウォレットサービスだけでなく、オンラインショッピングの決済領域、トークンの受送信サービスが提供される。
Webブラウザの競合
Webブラウザの最大の競合は、ご存知のように、クロームとサファリの独壇場だが、ここに暗号通貨を組み込んでいくことで、牙城を崩していくことが可能なのだろうか。
すでに、仮想通貨のウォレットサービスでもライバルが多数存在するため、本当に使われるウォレットになるには、試練が待ち受けているだろう。
だが、ひとえにウォレットサービスといっても目指している方向性がそれぞれ違うことがわかる。
仮想通貨ウォレットの競合
例えば、Braveブラウザでは、広告を非表示にさせるアドブロックという機能が特徴だ。
これは、現在のWebブラウザと過剰な広告の問題を解決するための挑戦でもある。私たちは、無料でインターネットで情報を得ることができる反面、広告を受け入れなければならなかった。
しかし、Braveを使えば、広告をブロックすることも可能だし、表示することで、読者がトークンを得られる広告主と利益をシェアする仕組みが考えられている。
読者と広告主との関係を変えるブラウザ版のウィキペディアを目指したようなサービスだ。
また、Breadウォレットは、銀行のようなものを目指している。銀行は顧客の資産を預かるが、Breadは顧客自身が秘密鍵の管理を行うことで、資産を預かるとう業務を行わない。
複数の暗号資産の管理を顧客のウォレット上で管理できるサービスを提供する。また、投資や貯蓄のアドバイスや仲介を行うことで収益を上げるビジネスモデルに挑戦している。
そして、サークルや、ロビンフッドという仮想通貨取引所サービスを提供する企業もまた、ウォレットサービスに参入してこようとしている。
これは、顧客の仮想通貨での入り口を抑えている彼らが、顧客と資産を囲い込む狙いがある。
取引所内に資産を保有したまま、資産のポートフォリを組んで暗号資産を管理したり、そのままオンラインオフラインの買い物に利用してもらおうというシームレスな仮想通貨の仲介役を担おうとしている。
仮想通貨ウォレットサービスの課題
このように、ウォレットサービスは様々な企業が参入しているが、目指しているものや、ビジネスモデルがそれぞれ違うことが分かる。
当面は、複数の仮想通貨ウォレットサービスが乱立していくものと思われる。
しかし、最大の課題は、価格の安定しない仮想通貨が通貨として利用されるのかということだ。現状は、実際には仮想通貨のほとんどは投機として利用されており、通貨として機能していない。
ウォレットサービスは財布としての需要がなければ成立しないサービスだ。市場規模も実際の決済とは比較することができなく、独自の仮想通貨マーケットの拡大に依存する。
クリプトキティなどの人気のゲームや仮想通貨アイテムを交換し合う需要が生まれれば需要は拡大する見込みはあるが、送信するための手数料高騰など使い勝手にも課題が残り、本格的に普及していくにはまだまだ時間がかかりそうだ。
それにまして、法律の壁が存在するので、仮想通貨の交換にかかる税金の有無や計算方法、複雑な税制をどうするのか?有価証券として扱うのであれば、銀行免許や顧客資産の分別管理や、セキュリティコストをどう捻出していくのかという大きな課題がある。
また、決済については、グーグル、アップルも無関心ではなく、仮想通貨ではなく、法定通貨による、個人間決済サービスや、送金サービスに力を入れ始めている。
これらの領域は、ユーザー数が実サービスの共通ネットワークを形成していくので、大手のプラットフォーマーが圧倒的に有利になる。
本気になって決済市場を取りにいくのであれば、グーグル、アップルの巨人に立ち向かうことはかなり難しい。彼らは既に、プラットフォームをスマホというハードウェアで抑えている。
仮想通貨ウォレットサービスの可能性
しかし、このウォレットサービスの挑戦は、ITジャイアントの牙城を崩すための新しい革命の始まりかもしれない。
インターネット企業の繁栄と衰退はスピードが早く、メインプレイヤーがどんどんと入れ替わっていく。
次のグーグル、アップルを作っていく企業が、仮想通貨の世界から誕生してもおかしくないのではないかと感じている。
そして、ユーザーにとって、より便利に有益なサービスが提供されていくことを期待したいと思っている。