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HitBTC突然の日本向けサービス停止と日本子会社設立の衝撃。仮想通貨取引所は戦国時代突入へ!

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HitBITの決断

先日、海外の取引所HitBTC「日本居住者の取引利用を一時的に制限する」と発表をしました。

これには、様々な憶測が流れましたが、最新の63日のHitBTC公式ブログの発表では、日本の法律に遵守したかたちで、HitBTC子会社設立の準備中である旨の報告がされています。HitBTCは世界中のさまざまな地域の規制当局と緊密に協力してきた実績をもとに、日本の金融庁とも協議を進め、規制を遵守し、日本での営業再開を目指しているとのこと。

今年度年末までを目処に、日本の事業者のM&Aも視野に入れながら、仮想通貨事業者としての免許取得を取得する方針で協議しているようです。

HitBTCは日本の市場は将来的にも魅力的だと感じており、規制を真正面から受け止めながら、なんとか食い込んでこようとしています。

HitBITの特徴

海外の取引所では、バイナンスが日本でも人気でしたが、結局日本での営業は叶わず、規制を回避する狙いで、マルタへと拠点を移すという力技の決断となりました。

バイナンスも最初は順調に金融庁との協議もあったようですが最終的には両者の主張が噛み合うことはありませんでした。このバイナンス、HitBTC共通のネックとなっている部分は、取扱い銘柄の多さと、スキャムと言われる詐欺コインの取扱いが問題になっていると推測されます。

 

HitBTCの評判は、昔から、ハッキングや、詐欺まがいの仮想通貨の取扱いが多く、危険な取引所という認識が強いところです。そのため、あまり積極的に使われる理由がありません。

ただ、ワンチャンスを狙って、時価総額の低い銘柄を多数取り揃えていることで、一発当てるとう需要は昔からありました。

むしろ、海外の大手取引所と比べて、HitBTCは後発組なので、ニッチな銘柄を早期に上場させるということで、他の取引所と差別化させて行かざるを得ないという特有の事情があったのかもしれません。

 

日本だけでなく、海外の取引所のトレンドは、日進月歩変化していてそのスピードは異様とも言える状態です。

仮想通貨の需要は世界中に点在しているので、その膨大な世界中のユーザーの獲得に向けて、要望に即座に答える迅速なサービス提供が求められます。今は、投機としての需要が大きいので、ニーズとして、値動きの激しい銘柄や、取扱い銘柄の多さ、上場までのスピードが早いことなどが、より多くの顧客獲得の効果的な経営戦略となっています。

 

しかし、明瞭期のチャンスに、急いでユーザーを獲得してしまおうという方針は、時として諸刃の刃になります。国内でも、ユーザー獲得を急いだあまり、セキュリティ施策が行き届かず、ハッキングで巨額の損失を計上したコインチェック社の例が記憶に新しいところです。

HitBITのリスク

取扱い銘柄が増えれば増えるほど、セキュリティコストとリスクは当然上がりますし、スキャムコインをユーザーの自己責任ということにして取り扱っても良いのかという問題もあります。

事業拡大のスピードを求めるがあまり、顧客保護がないがしろにされ、例え詐欺による損失も自己責任で片付けられてしまっては、元も子もありません。

それは、取引所を運営する会社だけでなく、自国の国民ひいては国益の損失にもつながる恐れがあります。

 

まさに、日本の金融当局と協議されている点は、顧客保護の観点がもっとも重要です。

そのため、取り扱いの銘柄の精査や、本人確認厳格化によるマネロン対策を十分に実施する必要があります。

海外大手取引所のコインベースやサークルなどの経営方針は、取引所自身の信用に重きを置いていて、取り扱い銘柄選定にも慎重です。最近では、中央集権的な取引所によるDEX(非中央集権取引所)の運営の買収や、価格安定型のステーブルコインの導入を進めるなど、まさに王道の経営手法で、大手取引所としての基盤を整えつつあります。そして、政府は、特定の仮想通貨取引所に集約させることで、規制を行き届かせるという狙いもあります。

大手取引所との差別化

しかし、中規模以下の仮想通貨取引所にとっては、大手取引所のように、信用力という点では後発ながら劣っています。そこで、取り扱い銘柄の多さなど、より投機的な取引所として運営していくことで、大手にはできなかった特徴を出していかなければならないとことが、悩みでもありました。これが、大手と同じ銘柄数で勝負するとなったら、やはり厳しいのではないでしょうか。

 

中規模以下の仮想通貨取引所は、大手取引所ができない、リスキーな経営判断がスピード感ありながら実施して行けるという点がダイナミックな拡大を支えてきましたが、その戦略も規制によって制限されるようになってきました。

 

世界的な仮想通貨規制の波が押し寄せる中、そのようなリスクの高い経営が、サービスとして受け入れられない国も現れてきました。

日本はその典型的な例です。仮想通貨を育てていくという方針は日本政府の発言からも感じられますが、ニュアンスとしては、顧客保護の観点がどの程度あるかによって規制の方向性が変わってきます。

イノベーションと規制のバランス

韓国は、一時仮想通貨の取引は禁止する処置をとろうとしたり、規制に対して厳しめの国でしたが、今は、規制を緩和することで、失敗を恐れず、イノベーションを生み出そうという気概に満ち溢れています。

この方法は、投資家保護は優先されません。投資で失敗しようが、借金を背負い込もうが、自殺者が出ようが、あくまで自己責任です。その代わり、国内で、有望なブロックチェーンテクノロジーベンチャーの誘致と育成を、スピード感をもって進めていくことができます。

 

一方日本は、あくまで、投資家保護が最優先事項です。失敗をなるべくなくして、安全運転で仮想通貨事業を育てようとしています。

正直どちらが良いのかは、将来になってみないとわかりません。あくまで、投資家と起業家と政府の規制のバランスが保たれたときこそ、イノベーションの最大の恩恵を受けるものと思っています。

ただし、規制を企業と政府のためのものとして、投資家保護が形だけのものになってしまうことが最大の過ちになってしまいかねないと思います。

日本の仮想通貨ユーザーを国内の取引所に囲い込んで、そこで、高いスプレッドで販売購入を強制されるようでは、日本の仮想通貨業界は終了です。これでは、グローバルな時代に鎖国をしているようなもので、一番残念な結果になり、衰退していくと思います。

中国は戦略的ですが、国内での規制で、力をつけてから海外に打って出ようとしています。成功させたテンセントや、アリババなどのIT企業と同じやり方です。

日本の仮想通貨規制の影響

日本は、ルールを作る側ではなく、ルールを守る側のプレイヤーになっていきそうだと感じます。そこで、重要なのはやはりアメリカの規制の方向性です。へんな言い方ですが、アメリカの規制がクリアになっていくにつれて、2番手で恩恵を受ける国が日本となっていくような気がします。

そのため、日本でのブロックチェーンベンチャーは育成のチャンスを逃すかもしれません。

今や、世界を代表する高収益のIT企業はアメリカと中国が牛耳っています。このバランスをブロックチェーンベンチャーを日本で成功させることで、ゲームチェンジしていってほしいと思いますが、まだまだそのハードルは高そうだと感じます。

HitBITなどの日本への海外取引所の参入が、黒船来航のように、日本の仮想通貨規制改革に刺激をもたらす良い影響になってくれることを願っています。